ディープフェイク・なりすまし詐欺の事例(10件)
生成AIで作った偽の映像・音声・画像を使い、経営者や取引先になりすまして送金や情報の提供を求めた事例です。
- ディープフェイク 株式会社PHP研究所/パナソニック ホールディングス株式会社(日本)
故・松下幸之助氏の画像や音声をAIで合成した偽動画がSNSで拡散、PHP研究所とパナソニックHDが注意喚起
PHP研究所は、創設者でパナソニックグループ創業者の故・松下幸之助氏の画像や音声をAI技術で不正に合成した動画が、インターネット上で出回っていることを確認したと公表した。本人の言動・人柄をゆがめる内容を含む場合があり、違法な可能性が高いとして、見つけしだい調査・記録し、プラットフォームへの削除申立てや法的措置を検討するとした。パナソニック ホールディングスも2025年11月21日、YouTubeをはじめとするSNSで同様の動画が拡散していることを確認したとして注意を呼びかけ、同社がPHP研究所と共同開発している「松下幸之助」再現AIとも関係がないと説明した。
- ディープフェイク 株式会社カブアンド(日本)
カブアンドと代表の前澤友作氏を騙る偽の動画広告が急増、AIで顔や音声を合成したような動画で投資詐欺に誘導
カブアンドは公式サイトの社長記事で、SNS上で「前澤友作」や「カブアンド」を騙る偽の動画広告が急増しているとして注意を呼びかけた。一部の広告では顔や音声をAIで合成したような動画が使われ、本人が直接呼びかけているように見せかけている。カブアンドを名乗って、存在しない投資案件や高額リターンをうたい、個人情報や金銭をだまし取ろうとする詐欺も確認されているという。
- ディープフェイク 愛知県警など6県警(日本)
ビデオ通話で警察官役の顔をAIで生成して現金をだまし取った特殊詐欺の被疑者を6県警が逮捕
警察庁の令和8年上半期の報告によると、被疑者らは2024年10月頃から2025年5月頃まで、海外の特殊詐欺拠点から日本国内の被害者に電話やSNSの通話機能で連絡し、『マネー・ローンダリング事件に関与している嫌疑があるため、預貯金の流れを確認する必要がある』などとうそを言って現金をだまし取っていた。警察官役はSNSのビデオ通話で制服のようなものを着て偽の警察手帳を見せ、顔が識別されないようAIで生成した顔を使っていた。
- ディープフェイク 米連邦通信委員会(FCC)(米国)
米大統領の声をAIで複製した選挙妨害の自動音声電話に、FCCが600万ドルの制裁金
2024年1月のニューハンプシャー州大統領予備選の2日前、バイデン大統領の声をAIで複製した音声で投票しないよう呼びかける、発信者番号を偽装した自動音声電話が有権者に送られた。FCCは2024年9月26日、この電話を指示した政治コンサルタントに600万ドルの制裁金を科すと決定し、通話を伝送した通信事業者とは100万ドルで和解した。
- ディープフェイク KnowBe4(米国)
KnowBe4、AIで加工した写真と盗まれた身元で応募した北朝鮮の偽IT人材を採用、支給PCでマルウェアの読み込みを検知
セキュリティ教育企業のKnowBe4は、社内のIT AIチーム向けに採用したソフトウェアエンジニアが、盗まれた米国人の身元とAIで加工した写真を使った北朝鮮の偽IT人材だったと公表した。4回のビデオ面接、身元調査、照会を通過していた。支給したMacが届くとすぐにマルウェアの読み込みが始まり、2024年7月15日にEDRが検知してSOCが端末を隔離した。
- ディープフェイク 香港特別行政区政府(保安局)(香港)
本社のCFOを装ったディープフェイクのビデオ会議で、香港の社員が約2億香港ドルを送金
香港政府の立法会での答弁によると、2024年1月末、英国本社の最高財務責任者(CFO)を装ったフィッシングメールをきっかけにグループのビデオ会議に招かれた社員が、指示に従って5つの口座へ合計約2億香港ドルを送金した。香港警察は、会議は公開されている動画と音声をもとに作られた事前録画で、詐欺師と被害者の間に双方向のやり取りはなかったとみている。政府は被害企業の名前を公表していない。
- ディープフェイク LastPass(米国)
LastPassの従業員にCEOを装った音声ディープフェイクの電話・メッセージ、従業員が応じず被害なし
LastPassは、従業員がWhatsApp経由で、CEOになりすました脅威アクターから電話、テキスト、少なくとも1件の音声ディープフェイクを含むボイスメールを受け取ったと公表した。業務の連絡手段ではないことや不自然に急かす様子から、従業員はソーシャルエンジニアリングを疑って応じず、社内のセキュリティチームに報告した。
- ディープフェイク 日本テレビ放送網(日本)
岸田首相(当時)の声を加工し日本テレビのニュース画面に見せかけた偽動画がSNSで拡散、日本テレビが抗議
岸田首相(当時)の声を加工して卑猥な発言をしているように見せかけ、日テレNEWS24の番組ロゴなどを表示してニュース番組を装った偽動画が動画配信サイトに投稿され、SNSで拡散した。日本テレビは自社ニュースで、動画は生成AIの技術を悪用したものとみられると伝え、放送や番組ロゴを悪用されたことは到底許すことはできないとコメントした。
- ディープフェイク 日本テレビ放送網(日本)
日本テレビのニュース番組を改変し、アナウンサーの声をAIで再現したとみられる投資勧誘の偽広告動画がSNSで拡散
日本テレビが2023年8月に「news every.」で放送したニュースを加工し、アナウンサーが投資サイトへの登録を促しているように見せかけた偽の広告動画が、10月下旬からSNS上で拡散した。日テレNEWSによると、日本テレビの依頼でAIの研究会社が解析した結果、アナウンサーの声は生成AIが本人の声を学習して再現したものとみられ、口元にも編集が加わっている可能性がある。日本テレビは自社サイトで「当社は一切関与しておらず、推奨もしていません」と注意を呼びかけた。
- ディープフェイク Retool(米国)
Retool、SMSフィッシングとディープフェイク音声の電話で従業員のMFAコードを詐取され、クラウド顧客27社のアカウントが乗っ取られる
Retoolは、従業員が給与関連を装ったSMSから偽のOktaログインページに誘導され、その後ITチームの一員を名乗り実在する従業員の声をディープフェイクで模倣した電話を受けて、MFAコードを伝えてしまったと公表した。攻撃者は従業員のGoogleアカウントに入り、Google Authenticatorのクラウド同期で保存されていたMFAコードも使って社内システムにアクセスし、クラウド顧客27社のアカウントを乗っ取った。