ChatGPT・Gemini・Claude・Copilotに学習させない設定(オプトアウト)の手順:個人と法人の違い、設定だけでは防げないこと
ChatGPT・Gemini・Claude・Microsoft Copilotで、入力した内容をAIの学習に使わせない設定の手順を、各社の公式ヘルプにもとづいて画面の名前どおりに説明します。法人向けプランでの扱い、設定を止めても残る経路(評価ボタン・人によるレビュー・保存期間)、会社として決めておくことまでまとめます。
生成AIに入力した内容が「AIの学習に使われるか」は、サービスと、個人のアカウントか会社の契約かで決まります。この手引きでは、主要な4サービスについて、学習を止める設定の手順と、止めても残るものを、各社の公式ヘルプの画面の名前どおりに説明します。
総務省の令和8年版情報通信白書では、生成AIのリスク対策として「入力データを学習に使わせない仕組み」を導入している日本企業は19.9%でした15。IPAも、個人アカウントでの業務利用の制限と、入力データを学習対象から外す設定の徹底を対策に挙げています16。
※ 2026年10月20日に各社の公式ページで確認した内容です。画面の名前や扱いは変わることがあるので、設定の前に最新の公式ヘルプも確かめてください。
まず確かめること:個人のアカウントか、会社の契約か
| サービス | 個人のアカウント | 会社が契約した法人向け |
|---|---|---|
| ChatGPT | Free・Plus・Pro は、設定を変えないと学習に使われうる1 | Business・Enterprise は既定で学習に使わない13 |
| Gemini | 「アクティビティの保存」がオンだと学習に使われうる。18歳以上は既定でオン45 | Google Workspace の対象エディションでは、許可なく学習に使わない6 |
| Claude | Free・Pro・Max は、学習への利用を許可するかを利用者が選ぶ710 | Team・Enterprise・API は既定で学習に使わない11 |
| Microsoft Copilot | 2026年8月18日以降の新しいアプリは、プロンプト・応答・ファイルを基礎モデルの学習に使わない12 | 職場・学校のアカウント(Entra ID)でサインインすると、学習に使わない14 |
業務で使うなら、会社が契約した法人向けのプランを、会社が発行したアカウントで使うのが出発点です。個人のアカウントで設定を止めても、その設定が守られているかを会社から確かめる方法はありません。生成AIからの情報漏洩の経路
ChatGPT(OpenAI)
学習を止める手順(Free・Plus・Pro)
- パソコン(Web): アカウントのメニュー →「設定」→「データ管理」→「すべての人のためにモデルを改善する」をオフ
- スマートフォン(iOS・Android): サイドバー → プロフィールのアイコン(設定)→「データ管理」→「すべての人のためにモデルを改善する」をオフ
- 別の方法: OpenAIのプライバシーポータルで「私のコンテンツでトレーニングしない」を選ぶ(どちらか一方でよい)
サインインしていれば、設定はほかの端末にも適用されます。オフにした後の新しい会話が学習に使われなくなります12。
止めても残るもの
- 評価ボタン: 回答に👍・👎を付けると、その会話全体が学習に使われることがあります1
- サポートとの会話: 設定がオンのとき、OpenAIのサポートとの会話も改善に使われることがあります1
- Codex: 「環境を含める」という別の設定があり、ChatGPTの設定を変えても変わりません12
- 保存: 設定をオフにしても、保存済みの会話は消えません。消したいときは会話を個別に削除します2
その場限りの相談には「一時チャット」も使えます。一時チャットは学習に使われず、履歴にも残りませんが、安全のために最大30日保存されることがあります2。
法人向け(Business・Enterprise)
入力・出力・ファイルは、別途の契約で許可しない限り学習に使いません。法人向けでは評価ボタンを押しても学習の対象になりません。管理者は、管理コンソールの「ワークスペース設定」→「回答へのフィードバックを許可」で評価ボタン自体を無効にできます1。保存期間も管理者が設定できます3。
Gemini(Google)
学習を止める手順(個人のGoogleアカウント)
- パソコン: gemini.google.com →「設定とヘルプ」→「アクティビティ」→ 上部の「オン」→「オフにする」または「オフにしてアクティビティを削除」
- myactivity.google.com/product/gemini からも同じ画面を開けます5
オフにすると、以降のチャットはアクティビティに表示されず、AIモデルの学習にも使われません4。ただし、チャットの履歴が残らなくなり、一部のアプリ連携も使えなくなります5。オンのまま使う場合は、自動削除までの期間(既定は18か月)を3か月などに短くできます5。
止めても残るもの
- 72時間の保存: オフでも、会話は最長72時間アカウントに保存されます5
- 人によるレビュー: オンの間は、委託先を含む人のレビュアーが会話の一部を確認します。レビューされた会話は、アクティビティを削除しても、アカウントから切り離して最長3年保存されます4
- フィードバック: オフでも、フィードバックを送るとその内容は人がレビューし、関連する会話とともに最長3年保存されます4
- ほかのGoogleの設定: 「ウェブとアプリのアクティビティ」など、ほかのGoogleサービスの設定は別です。Geminiの設定を変えても変わりません4
Googleは、レビュアーに見られたくない機密情報は入力しないよう求めています4。
法人向け(Google Workspace)
仕事用・学校用のアカウントでは、Geminiのアクティビティの設定は Google Workspace の管理者が管理します5。対象のエディションでは、プロンプトを含むデータを許可なく学習に使わず、人によるレビューもしません6。社員が個人のGoogleアカウントでGeminiを開いていないか、どちらのアカウントでサインインしているかが分かれ目になります。
Claude(Anthropic)
学習を止める手順(Free・Pro・Max)
- パソコン・ブラウザ: 名前のメニュー →「設定」→「プライバシー」→「AIモデルの改善を支援する」をオフ
- スマートフォン: 名前のメニュー →「設定」→「プライバシー」→ 同じ項目をオフ
オフにした後の新しいチャットとコーディングのセッションは、今後の学習に使われません。すでに始まっている学習には含まれます8。学習を許可した場合の保存期間は5年、許可しない場合は30日です10。
止めても残るもの
- 評価ボタン: 👍・👎を付けると、その会話全体を最大5年保存し、利用者のIDから切り離して学習に使うことがあります7
- 安全性のレビュー: 安全のための仕組みが会話に印を付けた場合は、ポリシーの執行などに使われることがあります78
その場限りの相談には「シークレットチャット」も使えます。学習に使われず、履歴やメモリにも残りませんが、30日間は保存されます9。
法人向け(Team・Enterprise・API)
入力・出力は既定で学習に使いません。例外は評価ボタンなどの明示的なフィードバックで、Team・Enterprise のオーナーは評価の機能を無効にできます11。
Microsoft Copilot
個人のMicrosoftアカウント
2026年8月18日から提供されている新しい版のCopilotアプリ(Web・デスクトップ・モバイル)について、Microsoftは、プロンプト・応答・ファイルの内容を基礎モデルの学習に使わないとしています12。アプリを新しい版に更新しておきます。
以前の版のアプリは、オプトアウトしない限り会話が学習に使われうる扱いでした。以前の版を使っている場合は、次の場所で「トレーニング」の項目をオフにします13。
- copilot.com: プロフィールのアイコン → プロフィール名 →「プライバシー」→「トレーニング」と「音声会話に関するトレーニング」
- Windows・macOS: プロフィールのアイコン →「設定」→「プライバシー」→ 同じ2つの項目
- モバイル: メニュー → プロフィールのアイコン →「アカウント」→「プライバシー」→ 同じ2つの項目
職場・学校のアカウント(Entra ID)
職場・学校のアカウントでサインインすると、エンタープライズデータ保護が自動的に適用されます。プロンプトと応答は基礎モデルの学習に使われません。プロンプトと応答は記録され、IT管理者が検索・監査のツールで確認できます14。
設定だけでは防げないこと
- 「学習しない」は「保存しない」ではない: どのサービスも、学習を止めても入力を一定期間保存します(ChatGPTの一時チャットは最大30日、Geminiは72時間、Claudeは30日など)2510
- 評価ボタンとフィードバック: 個人向けでは、押した会話が学習や人のレビューに使われうる経路として残ります
- サービス側の不具合・設定ミス: 利用者が正しく設定していても、提供者のミスで入力が見える状態になった事例があります。AIサービスの不具合・設定ミスの事例
- アカウントの乗っ取り: 履歴が残っていれば、乗っ取られたアカウントから過去の入力を読まれます
- 個人のアカウントの設定は確かめられない: 社員が個人のアカウントで設定をオフにしたかどうかを、会社は確認できません。シャドーAI
そもそも入力してはいけない情報(個人情報・取引先の秘密・未発表の情報など)は、学習の設定にかかわらず入力しないことが前提です。
会社として決めておくこと
- 業務で使うサービスとアカウント: 会社が契約した法人向けのプランを、会社が発行したアカウントで使う。個人のアカウントでの業務利用を認めるかどうかを決める
- 個人のアカウントを認める場合の条件: 学習の設定をオフにすることを条件にし、この手引きのような手順を配る。それでも確認はできない前提で、入力してよい情報を絞る
- 評価ボタンの扱い: 法人向けでは、評価ボタンを無効にするかを管理者が決める。個人向けでは、業務の会話に評価を付けないよう伝える
- 一時チャット・シークレットチャットの位置づけ: 学習に使われないが保存はされる、と正しく伝える
- 定期的な見直し: 各社の扱いは改訂されます(Copilotは2026年8月に扱いが変わった)。半年に一度などの頻度で、公式ページを確かめ直す
これらは社内ガイドラインの「使ってよいツール」「入力してよい情報」の項目に入れます。生成AIの社内ガイドラインの作り方
確認表
- 業務で使う生成AIは、会社が契約した法人向けのプランか
- 社員は会社が発行したアカウントでサインインしているか(Gemini・Copilotは、個人と職場のアカウントの取り違えに注意)
- 個人のアカウントを認める場合、ChatGPT「すべての人のためにモデルを改善する」、Gemini「アクティビティの保存」、Claude「AIモデルの改善を支援する」をオフにしたか。Copilotのアプリは新しい版か
- 評価ボタン(👍👎)の扱いを決めて伝えたか
- 学習を止めても保存はされることを、社員に伝えたか
- 各社の公式ページを最後に確かめた日を記録しているか
この記事の根拠にした資料
- OpenAI「モデルのパフォーマンスを向上させるためのデータの使用方法」
- OpenAI「Data controls in ChatGPT」
- OpenAI「Enterprise privacy at OpenAI」
- Google「Gemini アプリのプライバシー ハブ」
- Google「Gemini アプリのアクティビティを管理、削除する」
- Google「Generative AI in Google Workspace Privacy Hub」
- Anthropic「私のデータはモデルトレーニングに使用されていますか?(Free・Pro・Max)」
- Anthropic「モデル改善のプライバシー設定を変更するにはどうすればよいですか?」
- Anthropic「シークレットチャットを使用する」
- Anthropic「Updates to Consumer Terms and Privacy Policy」
- Anthropic「Is my data used for model training?(商用製品)」
- Microsoft「個人向け Microsoft Copilot:アクティビティの履歴」
- Microsoft「Microsoft Copilot のプライバシー コントロール(以前の版のアプリ)」
- Microsoft「職場または学校で Microsoft Copilot Chat を使用する場合のデータ保護」
- 総務省「令和8年版 情報通信白書 第Ⅰ部第2章第1節」
- 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「情報セキュリティ10大脅威 2026 解説書[組織編]」